「私、今の彼氏とそういう雰囲気にならないんだよね。付き合って1年経つのに一度もセックスしてない」
大学生だった2年前。仲の良い友人が飲み会の場で言った。
SNSに楽しそうなデートの様子を頻繁に載せ、のろけ話もよくしていた友人だったため、驚いた。
大学に入ってできた友人らとの飲み会では、時々恋愛とセックスの話になった。そこでは、恋人がいればセックスしていることは当たり前として会話が進んだ。
一方で、半年ほど勃起不全に悩んだことを打ち明けてくれた男性の友人もいた。
20代のセックスレス、取材を進めると
夫婦のセックスレスをテーマにした漫画「あなたがしてくれなくても」(双葉社)がドラマ化され、「夫婦間のレス」の認知度は高まってきたころのことだ。20代の結婚していないカップルのセックスレスはどうなのだろう、と気になった。
新聞記者になった私は「20代のセックスレス」をテーマに取材を進め、同僚とともに当事者や専門家から話を聞いた。
セックス・セラピストで泌尿器科医の木村将貴さんが公認心理師らと協力して相談・治療にあたる場には、若い相談者が増えていた。
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社会学者のアリス・パッハーさんは、日本の義務教育における性教育の不十分さと社会にはびこる性のタブー視によって、性について気軽に、でも時には真剣に話すことの難しさを指摘してくれた。このため、カップル間でセックスについて話すことができないという。
- 20代でセックスレス? 社会学者が考える「性生活の文化」の作り方
パッハーさんへの取材を終え、確かに「下ネタ」としてだけではなく、気軽に、でも時には真面目に、性の悩みや考えを共有できる機会は少ないと思った。
悩みを共有するためには、たとえば「若いからレスはないだろう」「カップルはセックスして当たり前」という固定観念から離れることが必要だろう。性のあり方は人によって、カップルによって違うのだから。
「セックスや性について真面目に話すことは恥ずかしくない」「セックスで悩むことは珍しいことじゃない」という考えが若い世代に少しでも広がって欲しいと願っている。
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